【無料版】 vol.33 伊東 充隆「『抗の医学』から『共生の医学』、そしてその先へ」（2018/1月配信）
20世紀の医学を
一言で表現するならば、
「抗の医学」
と言えると思います。
つまり病気と闘って来たのです。
西洋医学の薬はほぼ全て「抗～剤」です。
特に抗生物質の発見のお陰で、
感染症による死亡率は激減しました。
しかし、
ほどなくして耐性菌が出現して来て、
今やどんな抗生物質でも効かない
多剤耐性菌が出現しています。
皮肉なことに、この多剤耐性菌が
最も存在している場所は病院です。
抗生物質に限らず俯瞰して見てみると、
病気を敵とみなして闘うと、
最初は勝ったように見えても、
最終的にはより複雑性が増してしまい、
私達は病気に絡め取られてしまいます。
さて、21世紀はどんな医学の時代に
なって行くでしょうか。
今のところ、遺伝子レベルからの
再生医療の発展が目覚ましいですね。
遺伝子レベルの検査によって、
将来なる確率の高い病気が分かるので、
それに備えることが出来る訳です。
しかし、
基本的に病気を敵とみなして闘う、
という認識、考え方が
変わらないならば、
新たな副作用や病気が必ず現れて、
また新たな闘いが始まる事でしょう。
治療が複雑になればなるほど、
病気もまた複雑化して行くのです。
「抗の医学」と全く違う考え方が、
「共生の医学」です。
闘うのではなく、
共に生きるという認識です。
共生の医学はすでに
論じられて来ていますし、
実践している方々もいます。
しかし、残念ながら
あまり拡がってはいませんし、
効果のほどもぱっとしないのです。
その理由は何だと思いますか。
それは、根っこの方でまだ、
自分の心身を閉じたシステムだと
信じているからだと思います。
つまり自分の内側と外側の世界が
分かれていると信じている、
という事です。
閉じていると信じていると、
嫌なものはどうしても消したくなり、
闘ってしまうのです。
ですから、大事なシフトの要点は、
自分の心身が実は開いたシステムだと
気づく事です。
ちなみに、
開こうとしたら開きませんよ。（笑）
＊ ＊ ＊
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伊東 充隆（いとう みつたか）
医師。東邦大学医学部卒業。
2005年よりi Medic & Artを開設し意識の全変容（青空意識）をテーマに教育・
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